英語リスニングの勉強法|聞き取れない原因を3つに分ける
Summary
英語が聞き取れない原因は1つではありません。音で落ちているのか、速度で落ちているのか、語彙・文法で落ちているのかで、必要な練習が変わります。聞き流しを続けても伸びないのは、原因と練習が噛み合っていないからです。この記事は3つの切り分け方と、原因ごとの練習の振り分け方をまとめています。
リスニングの勉強法を調べると、たいてい「たくさん聞く」「聞き流す」「毎日英語に触れる」が出てきます。量は確かに必要です。ですが量だけで伸びない人が一定数いて、その人たちが聞き流しを半年続けても変わらないのはよく起きることです。
理由は、「聞き取れない」が1つの症状ではないからです。原因が違うのに同じ練習をしているので、効かない。
まず切り分ける:3つのどれか
同じ「聞き取れない」でも、実際に落ちている場所は3つに分かれます。切り分け方は簡単で、スクリプト(文字)を読むとどうなるかで判定できます。
| 文字を読むと | 落ちている場所 | 効く練習 |
|---|---|---|
| 読めば分かる(聞くと分からない) | 音 | 音の変化を確認する練習 |
| 読めば分かるが、時間がかかる | 速度 | 速く処理する練習 |
| 読んでも分からない | 語彙・文法 | 読む力を上げる |
順番が大事です。語彙が足りていないのにリスニング練習を積んでも伸びません。 聞き取れたところで意味が分からないので、聞く練習は無駄になります。
以下、それぞれ見ていきます。
① 音で落ちている場合
一番多いのがこれです。 そして聞き流しで最も改善しにくいのもこれです。
原因は、日本語話者が持っている「文字から想像した音」と、実際に話される音がズレていることです。
want to→ 「ワナ」did you→ 「ディジュ」a lot of→ 「アロタ」- 語尾の子音が消える(
nextの t が落ちる)
知っている単語なのに聞き取れないのは、この形で音を聞いたことがないからです。知識としての単語は持っていても、音の側の見出しが無い状態です。
効く練習は、スクリプトを見ながら音を確認することです。聞き流しでは、ズレていることに気づけません。文字と音を並べて、「ここがこう聞こえるのか」を1つずつ潰していきます。
具体的な手順はシャドーイングのやり方にまとめました(音の確認は、その段階2にあたります)。
② 速度で落ちている場合
文字を読めば分かるが、読むのに時間がかかる。この場合、音声は待ってくれないので置いていかれます。
対処は2方向あります。
(a) 処理を速くする 同じ文章を繰り返し音読して、意味を取るまでの時間を縮めます。初見の素材を次々こなすより、同じ素材を速くできるようにする方が効きます。
(b) 速度を落として、段階的に戻す 0.8倍で追えるようにしてから、0.9倍、1.0倍と戻します。最初から等速でやると、追えない体験が続くだけになります。
③ 語彙・文法で落ちている場合
文字で読んでも分からないなら、リスニングの練習をする段階ではありません。読む力を先に上げる方が早いです。
遠回りに見えますが、聞き取れても意味が分からない状態では、聞く練習の効果が出ません。単語の覚え方は英単語の覚え方にまとめました。
聞き流しは無駄なのか
無駄ではありませんが、役割が限定されます。
聞き流しが効くのは、すでに音と意味が結びついている人が、慣れを維持・拡張する場合です。上の①や③で落ちている段階では、聞いても処理できないまま時間が流れます。
なので順番はこうなります。
- 文字と音を並べてズレを潰す(①の対処)
- 同じ素材で処理速度を上げる(②の対処)
- そのあとで、量として聞き流しを足す
逆順にすると、多くの時間を使って変化が出ないことになります。
1日15分の配分例
- 5分 短い素材でスクリプトを見ながら音の確認(①)
- 5分 同じ素材を音読して処理を速くする(②)
- 5分 文字を外して聞く(確認)
素材は同じものを数日回します。 毎回新しい素材にすると、確認と修正の工程が入らず「聞いただけ」になります。
それでも続かなかった場合
ここまでは切り分けと練習の話です。設計が正しくても、続かなければ結果は出ません。
続かない原因は、時間・手順・やる気の波・伸びが見えない不安の4つに分かれます。大人のやり直し英語は、何から始めるべきかで、型ごとの最初の一歩を整理しました。
正直に書いておくこと
ここで示した切り分けは、どこに時間を使うべきかを決めるための整理です。「これをやれば何か月で聞き取れる」という約束はできません。伸び方は現在地と頻度によって大きく変わります。
言えるのは、原因と練習が噛み合っていないと、時間をかけても変化が出にくいということです。
その場で困っているなら
練習の話ではなく、いま会話の場で止まっているなら英語が聞き取れない|その場で使える対処と、あとで直す練習を先に読んでください。聞き返し方だけで、その場は成立することがあります。
音のほうに原因があるときは、英語の音読|効果が出る回し方と、意味の無い読み方も合わせて。ただし、ただ読むだけの音読は効きません。
よくある質問
- Q聞き流しは意味がないのですか。
- 意味が無いわけではなく、効く段階が限られています。音と語彙がある程度そろっている人が慣れを作るには有効ですが、音で落ちている段階の人が聞き流しても、聞き取れない音は聞き取れないままです。
- Q自分がどれで落ちているか、どう調べればいいですか。
- 同じ音声を、字幕なし→字幕ありの順で聞きます。字幕を見た瞬間に分かるなら音の問題、字幕を見ても分からない語があるなら語彙の問題、字幕ありでも追いつかないなら速度の問題です。
- Q1日どのくらいやれば伸びますか。
- 期間と成果を結びつけた断言はできません。伸び方は現在地と頻度で大きく変わります。この記事では、限られた時間を原因に合わせて配分する例として1日15分の形を挙げています。
Author
中川 代表コーチ
Hightouch English/Hightouch株式会社
英語をやり直す大人の学習設計を、行動科学にもとづいて組み立てています。
TOEIC 950点/関東甲信越英語教育学会(KATE)会員/全国英語教育学会(JASELE)会員