シャドーイングのやり方|社会人が続けられる最小手順
Summary
シャドーイングは効果が知られている一方で、途中でやめる人が多い練習です。素材が難しすぎる、いきなり本番の負荷でやろうとする——この2つが重なると、途中で止まります。この記事では、素材の選び方と、負荷を4段階に分けて1日5分から始める手順をまとめています。
シャドーイングは、音声を聞きながら、少し遅れて口に出して追いかける練習です。通訳の訓練法として知られ、英語学習でも広く紹介されています。
一方で、始めた人がかなりの割合で途中でやめます。理由は明確です。いきなりやると、まったく追いつけないからです。文字を見ないで、意味も取りながら、口も動かす。同時に3つを要求される練習なので、初回の体験が「できなかった」になりやすい。
なので、やり方の説明より先に、負荷を分ける話から始めます。
素材選びで、続くかどうかが決まる
うまくいかないとき、まず疑うべきは練習方法ではなく素材です。難しすぎる素材を選んだ時点で、どんなやり方でも追いつけません。
選ぶ基準は3つです。
- 文字を見れば8割以上わかる — 意味を取るのに時間がかかる素材は不向き
- 1分以内 — 長い素材は繰り返せない。同じ短い素材を何度も回す方が効く
- スクリプト(文字)がある — 詰まった箇所を確認できないと直せない
TED や映画は、素材としては魅力的ですが速度と語彙が上振れしやすい。やり直しの段階では、学習用の教材音声やニュースの短いクリップの方が機能します。
「面白い素材を選ぶ」より「追える素材を選ぶ」を優先します。 面白さは継続の助けになりますが、追えなければ練習が成立しません。
手順を4段階に分ける
同時に3つを要求されるのが原因なので、1つずつ剥がします。
段階1:意味を取る(文字あり)
スクリプトを読んで、意味と知らない語を確認します。ここを飛ばすと、以降ずっと意味処理に負荷が取られます。
段階2:音を確認する(文字あり・声は出さない)
音声を聞きながらスクリプトを目で追います。狙いは、文字と音のズレを見つけることです。
日本語話者がつまずくのはほぼここです。want to が「ウォントゥー」ではなく「ワナ」に聞こえる、語尾の子音が消える、単語の境目が繋がる。「知っている単語なのに聞き取れない」の正体は、この文字と音のズレです。
段階3:文字を見ながら声に出す(パラレルリーディング)
スクリプトを見たまま、音声に合わせて声を出します。これは厳密にはシャドーイングではありませんが、口の動きだけを練習する段階として要ります。
ここで詰まる箇所に印をつけます。印がついた箇所が、あなたの弱点そのものです。
段階4:文字を外して追いかける
ここで初めてシャドーイングになります。段階3で詰まらなくなってから外すのが順番です。
1日5分に収める形
上の4段階を毎回全部やると重すぎます。同じ30秒の素材を、日ごとに段階を上げていくのが現実的です。
| 日 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 1日目 | 段階1〜2(意味と音の確認) | 5分 |
| 2日目 | 段階3(文字あり音読) | 5分 |
| 3日目 | 段階3を繰り返す | 5分 |
| 4日目 | 段階4(文字なし) | 5分 |
| 5日目 | 段階4を繰り返して、次の素材へ | 5分 |
30秒の素材を5日かけて仕上げる。 一見遅いようですが、途中でやめないので結果的に進みます。
録音を1回だけ取ると効きます。 自分の声は練習中には聞こえていないので、ズレに気づけません。週1回でも録って聞き返すと、直す場所が具体的になります。
それでも続かなかった場合
シャドーイングは、続けられれば効く練習です。 逆に言えば、続かないなら効果は出ません。
やり方を軽くしても続かない場合、原因はやり方の側ではありません。時間の置き場所か、やる気の波か、伸びが見えない不安か。どれが効いているかで打ち手が変わります。
大人のやり直し英語は、何から始めるべきかに整理してあります。自分の型はつまずき診断で確認できます(1分・登録不要)。
正直に書いておくこと
シャドーイングは通訳訓練に由来する確立した練習法ですが、「何か月でどれだけ聞き取れるようになるか」は人と素材と頻度によって大きく変わります。期間と成果を結びつけた断言はできません。
ここで示したのは、途中でやめずに続けられる形に負荷を分ける方法です。
近い練習との使い分け
シャドーイングがきつすぎるなら、先に英語の音読|効果が出る回し方と、意味の無い読み方で負荷を下げられます。音そのものが通じないことが問題なら英語の発音練習|ネイティブを目指さず、通じる音に絞るへ。目標はネイティブの音ではなく、通じる音です。
よくある質問
- Q素材はどのくらいの難しさがいいですか。
- 文字を見れば意味が分かる素材が目安です。文字を見ても分からない素材は、シャドーイング以前に語彙・文法の問題なので、そちらを先に片づけたほうが早く進みます。
- Q声に出せない場所ではどうすればいいですか。
- 段階2(音を確認する・声は出さない)と、段階3を口だけ動かす形にすれば、電車の中でもできます。声を出せる日が取れないときは、段階を落として続けるほうが、完全に休むより戻りが早くなります。
- Qどのくらいの期間で聞き取れるようになりますか。
- 人と素材と頻度で大きく変わるため、期間と成果を結びつけた断言はできません。この記事で示しているのは、途中でやめずに続けられる形に負荷を分ける方法です。
Author
中川 代表コーチ
Hightouch English/Hightouch株式会社
英語をやり直す大人の学習設計を、行動科学にもとづいて組み立てています。
TOEIC 950点/関東甲信越英語教育学会(KATE)会員/全国英語教育学会(JASELE)会員