電話の英語が怖い人へ|聞き取れない前提で組み立てる型
Summary
電話の英語が難しいのは、英語力だけの問題ではありません。文字が無い・表情が無い・聞き返しづらいという3つの条件が同時に揃うからです。だから対処も、聞き取れるようになるのを待つのではなく、最初の一言と聞き返し方を先に決めておくことになります。この記事はその型をまとめたものです。
対面ならなんとかなるのに、電話になると急に無理になる。
これは英語力の問題だけではありません。電話には、難易度を上げる条件が3つ同時に揃っています。
- 文字が無い — 聞き逃したら戻れない
- 表情と口の動きが無い — 対面なら補えていた情報が消える
- 聞き返しづらい — 沈黙が気まずく、分かったふりをしてしまう
つまり、電話が苦手なのは自然です。そして対処も、リスニング力を上げる以外のところにあります。
前提を変える:聞き取れない場面は必ず来る
「聞き取れるようになってから電話に出よう」と考えると、この順番ではいつまでも準備が終わりません。
現実的なのは、聞き取れない場面が来ることを前提に、そのときの動き方を先に決めておくことです。 ネイティブ同士でも聞き返しは日常的に起きています。聞き返しは失敗ではなく、通話の標準動作です。
用意しておく3つの型
電話で慌てるのは、その場で英語を組み立てようとするからです。あらかじめ口に馴染ませておけば、考えずに出てきます。
① 最初の10秒(自分から言う)
最初は自分の番なので、ここは完全に準備できます。
Hello, this is Taro Yamada from ABC Company. I'm calling about the invoice we sent last week.
用件を先に言うのが要点です。 相手が話の枠を持てるので、以降の会話が推測しやすくなります。
② 聞き返す(3段階で持つ)
聞き返し方を1つしか持っていないと、2回目が言いづらくなります。段階を変えて3つ持ちます。
| 状況 | 言い方 |
|---|---|
| 全体が聞き取れない | Sorry, could you say that again more slowly? |
| 一部だけ分からない | Sorry, did you say fifteen or fifty? |
| 単語が分からない | What does that mean, exactly? |
2つ目が特に効きます。 「どこが分からないか」を具体的に示すと、相手は繰り返すのではなく言い換えてくれます。
③ 確認して終わる(誤解を残さない)
電話は記録が残らないので、最後に自分の言葉で要約します。
So, just to confirm — you'll send the revised file by Friday. Is that right?
ここで間違っていれば相手が訂正してくれます。聞き取りの精度を、確認で埋めるという考え方です。
数字と固有名詞だけは別で練習する
電話で実害が出るのは、たいてい数字・日付・名前です。しかもこの3つは、文脈から推測が効きません。
- 13 と 30、15 と 50 — 強勢の位置が違う(thirTEEN / THIRty)
- 日付の言い方(August eleventh / the eleventh of August)
- 綴りの確認(Could you spell that for me?)
ここだけは、聞き分けの練習に時間を割く価値があります。 他の語は聞き返せますが、数字は聞き返しても同じ音で返ってくるためです。
メモの型を先に作っておく
通話中に白紙からメモを取るのは負荷が高すぎます。枠を印刷して置いておくだけで、埋めるだけの作業になります。
相手/会社:
用件:
数字・日付:
次にやること(誰が・いつ):
枠があると「何を聞き取るべきか」が定まるので、全部を聞こうとして混乱するのを防げます。
それでも身につかない場合
ここまでは電話という場面に固有の話です。ただし型を知っても、練習しなければ口から出ません。
そして練習が続かない理由は、電話とは別のところにあります。時間なのか、手順なのか、やる気の波なのか、伸びが見えない不安なのか。
- 英語の電話対応(受ける・取り次ぐ・伝言) — こちらは受ける側です。場面別のフレーズを表にまとめてあります
- 大人のやり直し英語は、何から始めるべきか — 続かない原因を4つの型に分けて、型ごとの最初の一歩を出しています
- 英語リスニングの勉強法 — 「知っている単語なのに聞き取れない」の正体(電話で最も効く部分です)
- シャドーイングのやり方 — 口が動くようにする練習
正直に書いておくこと
ここに書いたのは、電話という場面の負荷を下げる設計です。「これで電話が平気になる」と断言はできません。準備した型が使えるようになるには、実際に使う機会が必要です。
ただ、聞き取れるようになるまで待つという順番よりは、はるかに早く動き出せます。
電話に限らず聞き取れないとき
受話器の場面でなくても止まるなら、原因は電話ではありません。英語が聞き取れない|その場で使える対処と、あとで直す練習に、その場での対処と、あとで直す練習を分けてまとめています。
よくある質問
- Q聞き返すのは失礼になりませんか。
- 電話での聞き返しは、ネイティブ同士の通話でも日常的に起きています。むしろ聞き取れていないのに「Yes」と答えて用件を取り違えるほうが、相手に迷惑がかかります。
- Qどのくらい練習すれば電話に出られるようになりますか。
- 期間は人と頻度によって変わるため、断言はできません。ただ、最初の一言と聞き返しの型は暗記しなくても手元に置いておけば今日から使えます。出られるようになるのを待つ必要はありません。
- Qかける側と受ける側で、準備は変わりますか。
- 大きく変わります。かける側は用件を自分で決められるので、最初の30秒をほぼ台本にできます。受ける側は準備できないため、手順を固定する必要があります。受ける側の手順は別の記事にまとめています。
Author
中川 代表コーチ
Hightouch English/Hightouch株式会社
英語をやり直す大人の学習設計を、行動科学にもとづいて組み立てています。
TOEIC 950点/関東甲信越英語教育学会(KATE)会員/全国英語教育学会(JASELE)会員