『Atomic Habits』の考え方を英語学習に当てはめる
Summary
『Atomic Habits』(ジェームズ・クリアー)の要点を英語学習に当てはめると、やることは3つになります。1回の量を「小さすぎる」ところまで下げる、既にある行動にくっつける、始めるまでの手数を環境から減らす。この記事は本の要約ではなく、英語学習での具体だけを書きます。
『Atomic Habits』(邦題『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』)は、習慣づくりの本として広く読まれています。
この記事では本の内容の要約はしません。要約は他にいくらでもあります。ここで書くのは、英語学習に当てはめたときに何をすることになるかだけです。
当てはめると、やることは3つになる
| 本の考え方 | 英語学習での具体 |
|---|---|
| 習慣は小さくする | 1回の量を「単語3つ」「英文1文の音読」まで下げる |
| 既存の行動に積み上げる | 「コーヒーを淹れたら」「電車で座ったら」に紐づける |
| 環境を設計する | 教材を開いて置く/アプリを1ページ目に置く |
順番も重要です。小さくする → くっつける → 環境を整える。逆にすると、環境だけ整えて量が多いままになり、続きません。
① 小さくする ——「少なすぎる」と感じる量まで
英語学習で最初につまずくのは、始める前の見積もりが大きすぎることです。「30分は確保しないと意味がない」と考えると、30分取れない日は何もしないことになります。
だから、1回の量を「これでは足りないのでは」と思うところまで下げます。
- 単語アプリを 3語だけ
- 昨日読んだ英文を 1文だけ音読
- リスニング音声を 最初の30秒だけ
足りないのは事実です。 それでも、ゼロの日を作らないほうが結果として残ります。量は、続く形ができてから増やします。
② 既にある行動にくっつける
新しく時間を作ろうとすると、忙しい週に真っ先に消えます。既にやっていることの直後に置くと、消えにくくなります。
これは研究の側でも扱われていて、**実行意図(implementation intention)**と呼ばれます。「Xをしたら、Yをする」と先に決めておくことで、その場で判断せずに動けるようになる、という考え方です(Gollwitzer, 1999)。
くっつける先は、自分が毎日ほぼ確実にやっていることから選びます。
③ 環境から「始めるまでの手数」を減らす
やる気を上げるより、手数を減らすほうが確実です。英語学習では、次のあたりが効きます。
- 音読する英文を1つだけ紙に出しておく(毎回選ぶ手間をなくす)
- 単語アプリをホーム画面の1ページ目へ(SNSは2ページ目へ)
- イヤホンをカバンから出さない
- 教材を開いた状態で机に置いて寝る
いずれも小さく見えますが、止まるのは「始めるまで」のところです。始めてしまえば、15分は進みます。
本と、研究側の枠組みの関係
『Atomic Habits』は一般向けの実践書で、個々の主張の一つひとつに研究の裏づけが示されているわけではありません。一方、行動変容の研究側にも、同じ方向を向いた枠組みがあります。
- COM-B — 行動を能力・機会・動機で切り分ける(Michie et al., 2011)。環境設計は「機会」に、量を下げるのは「動機」に効きます
- 行動変容技法の分類(BCT v1) — 実行意図や自己モニタリングを含む93技法の整理(Michie et al., 2013)
つまり、本の考え方は研究側の枠組みと矛盾しない部分が多い、という位置づけです。「本の通りにやれば必ず身につく」とは書けませんが、当てはめる先を英語学習に絞ると、やることはかなり具体になります。
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- 英語学習の習慣化|意志ではなく仕組みで続ける5つの手順 — 出典つきで、この記事より広く5手順を扱っています
- if-thenプランニング(実行意図)の作り方 — ②の具体的な作り方
- 英単語の覚え方 — 「小さくする」を単語学習に当てはめた場合
正直に書いておくこと
この記事は本の要約でも、書評でもありません。本を読まずにここだけ読んでも、英語学習で何をすればよいかは分かる形にしていますが、本の内容そのものを知りたい場合は原著をお読みください。
また、当てはめ方は私たちの解釈です。同じ本から別の当てはめ方もあり得ます。ここで書いたのは、英語という「伸びが見えにくく、使う場面が突然くる」対象に合わせた場合の形です。
よくある質問
- Q本を読まないと、この記事の内容は実践できませんか。
- できます。この記事は英語学習での具体だけを書いているので、ここに書いてある3つ(小さくする・くっつける・環境を変える)をそのまま試せます。
- Q「1%の改善」を英語学習でどう考えればいいですか。
- 1日あたりの伸びを測ろうとしないほうが実用的です。英語は数か月単位でしか変化が見えないので、日々見るのは「続いたかどうか」に置き換えてください。
- Q習慣が身につくまで何日かかりますか。
- 行動の種類と個人差で大きく変わるため、日数の目安は示せません。忙しい週を1回通過できたかどうかを目安にするほうが、実態に合っています。
Author
中川 代表コーチ
Hightouch English/Hightouch株式会社
英語をやり直す大人の学習設計を、行動科学にもとづいて組み立てています。
TOEIC 950点/関東甲信越英語教育学会(KATE)会員/全国英語教育学会(JASELE)会員