30代から英語をやり直す|遅いかどうかより、続く形があるか

やり直しの設計文=中川 代表コーチ

Summary

30代のやり直しでつまずくのは、年齢のせいではありません。20代と比べて「まとまった時間が取れない」「夜に体力が残らない」「仕事で英語を使う場面が急に来る」という条件が変わったからです。やることは、気合いを入れ直すことではなく、変わった条件に合わせて学習の置き場所を作り直すことです。

「30代からでは遅いのではないか」。英語をやり直そうとするとき、最初にこれが浮かびます。

先に結論だけ書くと、遅いかどうかは、実はあまり重要ではありません。年齢そのものより、30代になって変わった条件のほうが、続くかどうかを決めているからです。

30代のやり直しがうまくいかない理由は、年齢ではない

20代のときと同じやり方をして続かなかった人は、意志が弱くなったわけではありません。前提が3つ変わっています。

  • 時間がまとまらない — 1時間の枠は取れないが、10分の隙間は日に何度もある
  • 夜に体力が残らない — 「帰宅後に勉強」は、体力の残っている日にしか成立しない
  • 英語を使う場面が、突然くる — 会議・電話・海外とのやり取りが、準備が終わる前に来る

このうち3つ目は、20代には無かった有利な条件でもあります。使う場面があるほうが、学んだことは残ります。

Video【データ】同じ年齢でもここまで差がつく同じ年齢でも差がつくのは、才能ではなく積み上げた条件の差である、という話を1分にまとめたものです。Hightouch株式会社が運営する YouTube「大人のやり直し英語」より

30代が持っている、20代に無かった条件

不利な変化ばかりではありません。30代には、20代のときには無かった条件が3つあります。

  • 使う場面が実在する — 会議・電話・海外とのやり取り。使う予定のある英語は、記憶に残りやすくなります
  • 必要な範囲を絞れる — 「全部できるように」ではなく「自分の仕事で使う範囲だけ」に狭められます
  • お金で時間を買える — 教材や外部の伴走に、20代より投資しやすい立場にあります

このうち最初の2つが効きます。「いつか使うかもしれない英語」を範囲を決めずにやると終わりが来ませんが、30代は使う場面から逆算して範囲を切れます

伴走をつけるときに、先に決めておくこと

コーチングやスクールのように、人がついて伴走する形は、「何をどの順でやるか」が決まって迷いが消えるという点で、独学では作りにくい価値があります。

一方で、こういう形には共通の注意点があります。伴走が終わったあとに何が残るかです。期間中は続いていたのに、終わった途端に元に戻る——という話は珍しくありません。

だから、伴走をつけるなら期間の中で、続ける仕組みを自分の側に移しておくことを条件にしてください。具体的には次の3つです。

  1. いつやるかの引き金(何の直後にやるか)が、自分で言える状態になっている
  2. 忙しい日の最低ラインが決まっていて、実際にその日を通過した経験がある
  3. 記録の形が、伴走が無くなっても続けられる簡単さになっている

この3つが揃っていないまま期間が終わると、残るのは「あのときは続いた」という記憶だけになります。

30代の設計:学習時間を増やさない

条件が変わったのだから、やり方も変えます。増やすのではなく、既にあるものにくっつけます。

20代のやり方30代の設計
夜にまとまった時間を作る既にある習慣の直後に置く(歯磨きのあと、電車に座った直後)
毎日1時間ふつうの日は15分/忙しい日は1分でも「やった」にする
教材を先に決める止まった原因を先に決めて、それから教材を選ぶ
目標はTOEIC◯点目標は「3週間、ゼロの日を作らない」

とくに効くのは2行目です。忙しくない週には誰でもできます。続くかどうかを決めるのは、忙しい週に何が残るかです。だから先に「最低ライン」を決めておきます。

「もう遅い」に、どこまで答えられるか

正直に書くと、年齢と習得速度の関係について、私たちは断定できる根拠を持っていません。 一般に、発音の習得は早い時期のほうが有利とされる一方、語彙や読解では大人のほうが速いとも言われます。どちらも条件によって結果が変わる話です。

ただ、「何歳で始めたか」は自分では変えられませんが、「使う場面を作れるか」は変えられます。そして30代は、仕事の側にその場面を既に持っている年代です。変えられないほうを気にするより、変えられるほうに手を入れるほうが早く進みます。

最初の1週間ですること

  1. 前回どこで止まったかを1つに絞る(時間/やり方/気持ちの波/伸びが見えない)
  2. 置き場所を決める(「◯◯をしたら、英語を15分」の形にする)
  3. 忙しい日の最低ラインを決める(1分・単語3つ・音読1文など、絶対にできる量)
  4. 3日だけ記録する(できた/できなかったより、どこがずれたかを見る)

教材を選ぶのは、このあとです。順番を逆にすると、前回と同じ場所で止まります。

原因別に、もう少し詳しく

正直に書いておくこと

ここに書いたのは続け方の設計であって、英語力の伸ばし方そのものではありません。設計が整っても、そのあとに積み上げる時間は必要です。「30代でも大丈夫」と言い切ることも、逆に「もう遅い」と言うこともできません。

ここで扱っているのは、英語そのものの難しさではなく、続ける形のほうです。行動変容の研究が扱ってきたのもこの領域で、私たちはその枠組みを英語学習に当てはめています(枠組みと出典は運営者・執筆方針に書いています)。

よくある質問

Q30代から始めて、本当に話せるようになりますか。
断言はできません。到達点は使える時間・仕事で英語に触れる頻度・過去の学習歴に大きく左右されます。ただし「30代だから無理」という根拠も私たちは持っていません。年齢より、使える時間と使う場面という条件のほうが効きます。
Q1日どのくらいやればいいですか。
始めるときは15分で十分です。重要なのは量より、忙しい日でも消えない最低ラインを先に決めておくことです。ゼロの日が続くと、量に関係なく元に戻ります。
Q独学とコーチング、どちらがいいですか。
「やり方が分からない」で止まっているなら、独学でも調べれば解けることが多いです。「続かない」で止まっているなら、人が関わる仕組みのほうが効きます。ただし伴走をつける場合は、期間の中で続ける仕組みを自分の側に移しておかないと、終わったときに元に戻ります。
QTOEICのスコアは上がりますか。
期間とスコアを結びつけた約束はできません。伸び方は現在地・学習頻度・仕事で英語に触れる量によって大きく変わります。この記事で扱っているのは、そもそも学習が途切れないようにするための設計です。

Author

中川 代表コーチ

Hightouch EnglishHightouch株式会社

英語をやり直す大人の学習設計を、行動科学にもとづいて組み立てています。

TOEIC 950点/関東甲信越英語教育学会(KATE)会員/全国英語教育学会(JASELE)会員

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