英文法の勉強法|大人がやり直すときに、どこまで戻るか
Summary
文法のやり直しで失敗するのは、範囲を決めずに最初から全部やろうとするときです。話す・書くのに直接効くのは、時制・冠詞と数・前置詞・関係詞のあたりに偏っています。まずここだけを、例文を作る形で回します。読解専用の項目は後回しで構いません。
「文法からやり直そう」と決めて、参考書の1ページ目から始めて、3章あたりで止まる。よくある止まり方です。
原因は意志ではなく、範囲を決めていないことにあります。文法書は網羅的に作られているので、順番に読むと使う頻度と関係なく時間を消費します。
先に決める:話す用か、読む用か
同じ「文法」でも、話す・書くために要る項目と、読むために要る項目は違います。
| 目的 | 優先される項目 |
|---|---|
| 話す・書く | 時制(現在・過去・現在完了)/冠詞と単複/前置詞/助動詞/関係詞 |
| 読む | 分詞構文/倒置/仮定法の複雑な形/複雑な修飾関係 |
やり直しの目的が「仕事で使う」なら、上の行から始めます。下の行は、読んでいて詰まったときに戻れば足ります。
効く順に4つ
① 時制 — 現在・過去・現在完了の3つだけ先に
英語の時制は数が多く見えますが、仕事で使う大半はこの3つです。
- 現在形: いつものこと(I work with the Tokyo team.)
- 過去形: 終わったこと(I sent the file yesterday.)
- 現在完了: 今につながっていること(I've already sent it.)
現在完了で止まる人が多いので、ここに時間を使う価値があります。
② 冠詞と単複 — 完璧を目指さない
a / the / 無冠詞は、日本語話者にとって最後まで残る項目です。ここで完璧を目指すと進みません。
まずは可算か不可算かだけ意識します。information、advice、equipment が数えられないことを知っているだけで、通じ方が変わります。
③ 前置詞 — 動詞とセットで覚える
前置詞は、単独で意味を覚えるより、動詞とセットで覚えるほうが早く定着します。
- depend on、apply for、consist of、result in
「on の意味」を覚えるのではなく、depend on を1語として覚える形です。
④ 関係詞 — 文を伸ばすために
短い文だけで済ませていると、説明が必要な場面で詰まります。関係詞(who / which / that)は、言い足すための道具として使えます。
参考書は「読む」のではなく「引く」
やり直しでいちばん効率が悪いのが、文法書を最初から読むことです。読んだ内容は、使わなければ残りません。
代わりに、次の順で回します。
- 自分の仕事で使う文を1つ書く(メール1文でよい)
- 書けなかった/自信が無かった箇所だけ、文法書で引く
- 引いた項目で、例文を3つ自分で作る
②が「範囲を決める」工程です。 自分が詰まった項目だけが残るので、必要なところだけが積み上がります。
中学英語まで戻るべきか
「中学英語からやり直す」は有効な選択肢ですが、全部やる必要はありません。判定は簡単で、次のどちらかです。
- 上の①〜④で説明を読んでも分からない → 戻る価値があります
- 説明は分かるが、口から出てこない → 文法の問題ではなく、練習量の問題です
後者の場合、文法書に戻っても解決しません。シャドーイングや音読のほうが効きます。
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正直に書いておくこと
ここで挙げた優先順位は、「仕事で英語を使う」場合を想定した並べ方です。試験対策(英検・TOEIC の文法問題)や、学術的な読解が目的なら、優先すべき項目は変わります。
また、「この順でやれば何か月で話せる」という約束はできません。文法は分かったからといって、そのまま口から出るわけではないという点は、正直に書いておきます。
よくある質問
- Q文法書は何冊必要ですか。
- 1冊で足ります。複数冊そろえても、引く場所が分散するだけです。読む本ではなく引く本なので、索引が使いやすいものを選んでください。
- Q中学英語からやり直したほうがいいですか。
- 説明を読んでも分からない項目があるなら戻る価値があります。説明は分かるのに口から出てこない場合は、文法ではなく練習量の問題なので、戻っても解決しません。
- Q冠詞がいつまでも分かりません。
- 冠詞は最後まで残りやすい項目です。完璧を目指すより、まず可算・不可算の区別だけ意識してください。information や advice が数えられないと知っているだけでも通じ方が変わります。
Author
中川 代表コーチ
Hightouch English/Hightouch株式会社
英語をやり直す大人の学習設計を、行動科学にもとづいて組み立てています。
TOEIC 950点/関東甲信越英語教育学会(KATE)会員/全国英語教育学会(JASELE)会員